もう失敗しない・悩まない!外壁塗装の色選びのポイント2023/01/13

1.はじめに

建物をどのような色で塗り替えるか?
色選びは、塗装工事をお任せくださるお客様の多くが迷われるポイントです。

決して安くはない建物の塗り替え。
そして、一度塗り替えた色は、次の塗装まで……長ければ20年以上、そのままです。
だからこそ、色選びは失敗したくないものです。
今回は、よくある色選びの失敗パターンおよびその対策、そして迷わない色の選び方をご紹介します。

 

2.色選びのよくある失敗と対策

まずは、色選びでありがちな失敗・トラブルと、その回避策をご紹介します。

 

①塗料や色が建物に合っていない

外壁材の種類や柄によって、合う仕上げの塗料は異なってきます。

よくあるのは、多彩模様のサイディングを、単色で塗り潰してしまうケース。
従来の柄が消え、のっぺりとした仕上がりになってしまいますので、仕上がりの様子を予想していないと、塗装後に違和感を覚えるかもしれません。
これを避ける方法としては、最もシンプルなのは、透明なクリヤー塗装を施す方法です。
従来のサイディングの多彩模様を残すことができますが、外壁材の劣化が進んでしまっていると、クリヤー塗装には適しません。
その他、チップや石材を混ぜた多彩模様塗料で塗装したり、単色で塗り潰した上から別の色で着色したりする方法もありますが、材料や手間の分、費用はかさみます。

他にも違和感が生じやすい事例として、打ち放し仕上げの外壁を塗り潰してしまうケースや、艶消しの吹付仕上げの外壁に艶のある塗料を塗ってしまうケースなどがあります。
どちらも従来の外壁と仕上がりが異なり、「ペンキで塗った」感が出てしまうので、打ち放し外壁の塗装の際は、コンクリートの模様を残す塗料(私共では「ランデックスコート」をお勧めしています)、吹付仕上げ外壁の塗装の際は、艶のない塗料を選択いただくと、比較的自然な仕上がりになるのではと思います。

また、窓サッシなどのアルミやステンレス製の箇所は、塗料の密着が悪いため、塗装しないことが多いのですが、これらの塗装しない箇所を考慮せずに色を決めてしまうと、「黒一色に仕上げたかったのに、サッシの白色が目立ってしまった……」などの失敗が生じてしまいます。
塗装しない部分との調和を考えて色を選ぶことが大事になってきます。

 

②想像していた色と違う

これも、色選びでありがちな失敗です。
外壁塗装は、家電製品や車などと異なり、実物で仕上がりを確認することができないため、イメージと実際の仕上がりとのズレが生じてしまうことがよくあります。
その原因の一つに、「面積効果」というものがあります。これは、色の面積が広がると、人間の目の錯覚により、明るい色はより明るく鮮やかに、濃い色はより濃く暗く見えるというものです。見本帳やサンプルで小さい見本を見ても、実際に塗った色とは見え方が異なってくることがあります。
これを避けるための対策としては、カラーシミュレーションを作成し、家全体をその色で塗った際の仕上がりをイメージしたり、塗料メーカーが作成している塗板見本(多くはA4サイズです)を活用して、実際の色味を確認したりすることです。艶による仕上がりの差異も、大きな見本があると確認しやすいです。

 

③周辺の建物の色と馴染まない

 

自分の好みの色で建物を塗装しても、周囲の建物や街並みの色との調和が取れていないと、人によっては違和感を覚えるかもしれません。とある漫画家が赤と白のストライプで家を塗装したところ、近隣住民とトラブルになった……なんて事例を覚えていらっしゃる方もいるかと存じます。家の外壁は、街の景観の一部でもあります。あまりにも奇抜な色は、街の景観を乱し、地域のトラブルの火種となりかねません。
このようなトラブルを避けるため、わが国では2005年に景観法という、景観に対する配慮・調和を重視するための法律が施行されました。また地域によっては、景観が乱れないように、条例やガイドラインを定め、建物に望ましい色を決めたり、用いられる色を限定したりしている所もあります。
私共の地元の板橋区や練馬区でも、景観計画やガイドライン、景観条例(練馬区)が制定されており、景観に配慮した建築が要請されているほか、一部地域を景観形成重点地区として定め、推奨色を規定し、色の変更に関しては届出や事前協議を必要としています(板橋区では常盤台および加賀の一部、板橋崖線軸地区=徳丸・赤塚エリアの一部、石神井川軸地区=石神井川沿いエリアの一部がこれに該当します)。
自分の建物だけが目立つのではなく、街並み全体が美しくなるような色を考えて選んだ方が、建物の印象も良く見えると思います。

 

④年月が経って色あせしてきた・汚れてきた

どのような色で塗っても、ペンキはやがては色あせしてしまうものですが、原色に近い色を選択されると、顔料が抜け落ちやすいために、短期間で色あせが目立ってきます。赤色や黄色の部分だけ色がなくなった標識や看板を見たことはないでしょうか。建物の塗装に使用されるペンキも同じです。濃い色や派手な色を選ぶと、年数経過とともに色あせし、美観が損なわれやすくなります。
塗料の色あせのしやすさは、塗料の成分によっても異なります。アクリルやウレタンの樹脂は、結合の力が弱く、紫外線エネルギーで破壊されやすいので、日が当たる面では、数年で顔料が浮き出る「チョーキング」という現象が現れてしまいます。経年による色あせを防ぐためには、紫外線により樹脂の結合が破壊されづらいフッ素樹脂塗料や、無機成分を含んだ塗料、あるいは紫外線での樹脂分解を防ぐ成分を調合した「ラジカル制御」型塗料を選んでいただくことをお勧めしています。
また白い色や、艶消しの塗料で塗装する場合は、経年により雨筋などの汚れが目立つことがあります。早いうちであれば水で洗い流せますが、汚れがこびりつくと、通常の水洗いでは汚れの除去が困難になります。汚れが気になるようであれば、明るすぎる色は避けていただいた方が無難です。

 

3.迷わない色の選び方

これまで色選びに関しての、いわゆる「NGパターン」を紹介してきました。
それらを排したとしても、色の選択肢は実に豊富。色の決定に迷われる方は多くいらっしゃいます。
私共のお客様でも「色をめぐって家族で喧嘩してしまった」「色が工事直前まで決められず、塗板見本を枕元に置いて寝た」などといった事例を、これまで伺っています。
ここからは、迷わない色の選び方をご紹介します。

 

①色の方向性を絞る

選択肢が豊富にあると、かえって色を決められなくなってしまうものです。
私共では、お客様にカラーシミュレーションを提示し、色を自由に決めていただくことが多いのですが、バリエーションが多様すぎて、どのような色が建物になじむか、分からなくなってしまうこともあります。ほとんどの建物の場合、落ち着いた系統の色であれば、どんな色を選んでも似合うものですが、それが逆に、お客様の悩みの種となっています。
迷わない色決めの第一歩は、「アイボリー系」「茶色系」など、ある程度色の方向性を決めてしまうことです。色の方向性が定まらないときは、周囲の景観になじむ色を考えたり、街を歩いていて良いと思った建物の配色を真似したりするのも手です。
これはあくまで私共の経験上ですが、色の方向性を様々検討したけれど、結局現状に近い色で落ち着く……という方が多い気がします。

 

②細かい色味を塗板見本で確認

色の方向性が決まったら、細かい色味は、実際の塗色を見て選んでいただいた方が、迷うことなく、かつ後悔もしないと思います。メーカーが塗板見本を用意できるようでしたら、取り寄せてみることをお勧めします(メーカーによっては、非対応や有償の場合もあります)。塗板見本も多すぎると迷ってしまいますので、色の方向性を絞れたら、2~3枚程度を用意して見比べ、その中から最終決定を行うと、比較的決断をしやすいと考えます。
色の見え方は、日の当たり具合によっても変わってきますので、塗板見本は、屋内ではなく屋外で、そして日なたや日陰など、複数の場所でご覧いただくことをお勧め致します。
なおカラーシミュレーションは、実際に塗装する色と完全に一致しているわけではないので、全体のカラーバランスや、周囲の景観との釣り合いを検討するのには向いていますが、細かい色味の確認には向いていません。最終決定は、やはり実物を見て行うべきでしょう。

 

③試し塗りをしてみる

色の確認に関しては、外壁に実際の塗料を塗ってみるという方法もあります。塗板見本と比較して大きな面積を塗れるため、また実際の外壁のテクスチャー(凹凸など)に塗るため、塗った後の仕上がりがよりイメージしやすいというメリットがあります。その反面、試し塗りにかかる人件費が発生したり、メーカーによっては塗料サンプルが有償となったりすることがあります(私共でも、試し塗りは基本的に有償対応となります)。若干の手間はかかりますが、全体の塗装を終えてから「やっぱり別の色で塗りたい」と、全体を塗りなおすことに比べたら、はるかに安いコストで済みますので、仕上がりにこだわりたい方にはお勧めかもしれません。

 

④最終決定者を決める

ご自宅の塗り替えの際は、ご家族で話し合って色を決める方も多いと思います。ご家族であっても色の好みは様々で、なかなか話がまとまらないといった事例も耳にします。
「船頭多くして船山に上る」と言われるように、皆が自分の好みばかりを主張しては、色選びは難航してしまいますので、どこかで折り合いをつける必要があります。
最終的に色決定の判断を下すのは誰か……費用を負担する人なのか、在宅時間が一番長い人なのか、色のセンスがある人なのか、こだわりがある人なのか、それともご家族で決めず、業者に一任してしまうのか。よくよく話し合って、決める必要があります。他のご家族の意見を尊重できる懐の深さと、ご家族の絆が問われます。

 

4.おわりに―色選びを楽しみましょう

建物の塗り替えが完了して綺麗になると、とても気持ちがいいものです。
その前段階にあたる色選びも、本来楽しいもの、綺麗になった姿をイメージするワクワクするものであるはずです。NGパターンなんかも挙げてきましたが、過度に心配して、色に悩んでストレスを溜めるのは勿体ない!余程奇抜な配色でない限りは綺麗に仕上がりますので、自信をもって、ご自身がこれだと思う色を選択していただければと思います。
それでも、どうしても決められない場合は、施工を依頼する業者に相談してみてください。
……と言っても、業者も十人十色だとは思いますが、少なくとも私共は、工事を焦らすことは致しません。
お客様の悩みや不安に向き合いながら、その解消をお手伝いすることをお約束致します。

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