外壁塗装のベストシーズンはいつ?季節ごとのメリット・デメリットをご紹介します2023/08/26

1.はじめに

「外壁塗装に最適な時期はあるの?」「いつ塗り替えるのがいいの?」というご質問を多くいただきます。
結論から申し上げますと、ほとんどの時期は、外壁塗装に適していると言えます。
その中でも「最適な時期」というのは、お客様の生活スタイルによる所が大きいです。

とはいっても、天気などの環境は、年間を通じて変わってまいりますので、季節によって多少のメリット・デメリットが生じてきます。
今回は、季節ごとに、塗装のメリット・デメリットをご紹介します。皆様にとって「最適な時期」を見つける一助となれば幸いです。
なお季節による気候の特徴は、基本的に東京地方のものを記載しています。寒暖や降雨雪量などは地域によって異なりますので、ご注意ください。

 

 

2.季節による塗装工事のメリット・デメリット

春になって寒さも和らいでくると、塗装をお考えの方が増えてきます。職人にとっても、塗装作業をしやすくなる季節です。
比較的雨が少なく、日の時間が長くなってくるので、作業時間も確保でき、塗装に係る工期も短くて済みます。

人気のある時期と言えるでしょう。

人気がある時期ということは、塗装をする職人さんの手は、早い時期に埋まってしまうことが多いです。一概にとは言えませんが、直前になっても手が空いている職人さんは、施工品質もお察し……という傾向があると思います。ギリギリになって「春に工事をしたい」と要望すると、手の空いている、レベルの高くない職人さんを充てがわれる可能性があります。

自社職人を抱えている業者であっても、繁忙期は下請業者に仕事を振っている、なんて事例は少なくありません。

春に塗装をするのであれば、早い時期からの検討をお勧めします。

また春は外が暖かくなるので、思わず窓を開けたくなることもあるかもしれませんが、外壁塗装の期間中は、窓を開けられなくなりますので、積極的に窓を開けて換気をしたい方は、他の時期をお勧めします。

(花粉の飛ぶ時期は窓を開けない方も、このところ増えていますが)

 

夏は一年の中で最も日が長く、塗料の乾きも早いため、作業の進みは比較的早いです。

その一方で雨の日も増え、工事ができない日も出てきます

特に梅雨の時期は、数日にわたって作業を中断せざるを得ないこともあります。「ゲリラ豪雨」と呼ばれるような、突然の豪雨に襲われるケースもあり、タイミングが悪いと、せっかく塗ったペンキが流れてしまうことも。

この時期の職人さんは、雨雲レーダーを逐次チェックしながら、作業の段取りを組んでいます。雨がどれだけ降るかは予測しづらいですが、少なからず雨の影響を受けるこの時期は、意外と工期が延びる可能性もあります。

気温が高くなると、窓を開けずに室内でクーラーをかけて過ごすことも多いかと思いますので、工事中窓を開けられないことは、春ほど気にならないと思います。

(屋外で作業する職人さんにとっては、体調管理にも気を付けなければならないのですが)

 

夏が去り気温が落ち着いてくると、職人さんにとっては作業しやすい環境になってきます。

(花粉に悩まされないので、春より秋の方が作業しやすい、という声も聞きます)

いわゆる「秋晴れ」が続く秋の真っただ中は、天候にも恵まれ、工程通り作業が進みやすい時期で、春とともに人気のシーズンと言えるでしょう。春同様に混みやすい時期になりますので、この時期での施工をお考えでしたら、早めに日程を押さえておいた方が良いかと思います。

一方でこの時期、特に初秋は、台風の襲来がリスクとなります。

作業を中断せざるを得ないほか、強風で足場があおられ、不安な思いをさせてしまうことがあるかもしれません(風よけのために足場のネットを巻いたり等の対策をするので、足場が崩落したり、足場が外壁材を傷つけてしまったりすることはまずありませんが)。

また秋雨前線が停滞することで、工期が思いのほか延びることがありますので、この点も要注意です(関東地区は、梅雨よりも秋雨の方が、雨量が多いというデータがあります)。さらに晩秋にかけては、日の入りの時間が早くなってまいります。作業時間が短くなるため、これも工期が延びる要因となります。

 

冬は気温が低下するため、塗装には注意が必要です。

気温が低下すると、乾燥に時間を要します。夏では半日程度で乾燥する塗料が、冬では丸一日乾燥が必要になるといったこともあります。シール材などは、上から塗装ができるようになるまで、数日間乾燥を要するものもあります。

また多くの塗料は、気温が低いと塗装が行えません。寒冷地用など一部の塗料を除くと、「気温5℃以下の環境では、塗装を避けてください」という表記をしている塗料が大多数です。これは、寒い環境では塗料の水分や有機溶剤が蒸発しづらくなり、塗膜の形成に支障をきたすことが理由です。特にコンクリートは、基材の温度が下がるため、注意しなければなりません。

さらに早朝に霜が降りたり、結露が発生したりして、外壁・屋根などの塗装面が濡れてしまうと、塗膜が密着せず、塗装後に膨れや剥がれなどの不具合が生じるおそれがあります。これを避けるためには、気温が上がってくるのを待つしかないのですが、冬はこれらの水分の蒸発スピードも遅く、「天気が良いのに、作業が行えない」というシチュエーションに直面することもあります。東京都心では、雪が積もることは滅多にありませんが、稀に雪が残ると、同様の状況に陥ります。

上記のような事象に加え、日が出ている時間が短いため、作業時間も短くなり、工期はどうしても長くなることが多いです。
ただ、全く作業ができないというわけではありません。関東地方では、冬は晴天が続くことが多いので、極端に気温が下がらない限りは、日中の施工が可能です。

施工環境さえ誤らなければ(=まともな職人さんであれば)、他の季節と同様の仕上がりができます。
また一般的に、冬は塗装工事の閑散期にあたるため、その分安く工事をお願いできるかもしれません(業者によるとは思いますが……)。施工費を抑えたいとお考えの方には、決して悪くない季節だと思います。

 

 

3.塗装に最適な時期はあるか?

上記を踏まえると、天候的には、春か秋が塗装に適したシーズンと言えるでしょう。特に工事の際に駐車場を借りたり、窓を開けられないことがストレスになったりと、少しでも工期を短くしたいとお考えの方には、落ち着いた天候の時期の施工が良いと思います。
一方で、工期に目を瞑れば、それ以外の季節でも変わらず塗装が可能です。

四季で多少の差はありますが、塗装工事は、どの季節であっても、どうしても天候に左右され、思いのほか工期が延びてしまうことがあります。

そういう意味では、個人的には、あまり季節は気にされなくてもよいのではないかと考えます。むしろ劣化が進んでいる場合には、季節に関わらず、早急な対処が必要です。雨漏りが起こってしまっている場合はなおさらです(厳密に言えば、雨漏りの改修と塗装工事とはまた若干異なるのですが……)。

塗装したいと考えるようになったとき、それがお客様にとってのベストシーズンではないのでしょうか。

 

 

4.おわりに―塗装工事は工期に余裕を持って

どの季節に塗装する場合でも、大切なのは、工期に余裕を持っていただくことです。工期を短くしたいとお考えであっても、天候不良のリスクは常につきまといます。
私共でも、季節に合わせて、ある程度余裕を持った工期をご案内しているのですが、やむを得ず工期を延長させていただくことがあります。
工期に余裕がないと、多少劣悪な環境でも作業を敢行せざるを得なくなり、施工不良などにつながる可能性があります。そのような事態は絶対に避けなければなりません。将来にわたって安心していただくためにも、余裕のある工期で、安全・丁寧に作業をさせていただきたいと考えています。