雨漏りの原因は様々!どこが原因?―適切な調査と修理が肝心です2022/07/31
1.はじめに
暑い季節になると、夕立など、突発的な雨が増えてきます。
また、台風の襲来の可能性も高まります。
夏は晴れの日が多いですが、上記のような大雨や台風で、雨漏りの被害が増える時期でもあります。
「今まで何ともなかったのに、先日の雨で雨漏りが発生した」「台風のときだけ、天井から雨漏りする」などのご相談を多くいただくようになります。中には「以前別業者で修理したけれど、結局直らなかった」という方もいらっしゃいます。
雨漏りを解消するためには、正確な原因究明が欠かせません。
どこから雨漏りしているのか、調査によって原因を突き止めた上で、適切な修理を行うことが求められます。
「多分この箇所だと思う、修理するので様子を見てください」という対応では、雨漏りが直らない可能性がある(私共の体感では、8割方直らないように思います)ばかりか、意味のない修理を行って、無駄な費用を払ってしまうことにもなりかねません。さらに雨の度に「また雨漏りするのではないか……」という不安を抱えながら生活することにもなります。
これは人間の身体にたとえると、腹痛で病院に駆け込んで、ろくに問診や検査もせず「とりあえず手術をするので様子を見てください」と言われるようなものです。早くどうにかしたいとはいえ、いきなり手術で様子を見て…というのは、ちょっと気味が悪いですよね?
雨漏りも同様です。適当な修理で済ませるのではなく、まずはどのような時に漏れるか、補修歴はあるかなど、聞き取りを行う必要があります。そして外部に漏れそうな場所があるか、目視確認を行い、その上で散水調査や赤外線調査などの専門調査を行って、漏水原因を突き止めなければ、雨漏りの確実な解消は見込めないのです。これは戸建住宅であっても、テナントビルであっても同じです。
2.雨漏りの原因を探る
雨漏りの原因は、建物によって様々です。また1箇所のみではなく、複数箇所から雨漏りしていることもあります。そのため、まずはお客様から、雨漏りが発生したときの状況を詳しく伺い、原因を考えていきます。
どのような時に雨漏りしたかをお伺いすることで、普段の雨でも漏れるのか、大雨が降らないと漏れないのか、風を伴う雨が降らないと漏れないのかなどが把握できます。
雨漏りの起こる状況が把握できれば、雨漏りしている箇所が、屋根やバルコニーなどの、普段の雨でも水がかかる場所なのか、あるいは外壁やサッシなどの、大雨や台風などでしか水がかからない場所なのか、直近での雨漏りはいつ頃だったか…など、ご提供いただいた情報をもとに、可能性をある程度絞ることができます。
上記の聞き取りと並行して、建物外部に雨水が浸入しそうな可能性がある箇所がないか確認します。こうすることで、漏水原因と思われる箇所を、ある程度絞り込むことができます。
気をつけなければいけないのは、まだこの段階では、推測でしかないということです。ここで原因を決め打ちしてしまうと、当てずっぽうな修理になりかねません。正確な箇所の究明には、散水調査や赤外線調査などの専門調査を必要とします。
3.こんな箇所が漏れやすい!
我々の散水調査・赤外線調査の実績から、雨漏りの発生原因になりやすい箇所と、その対策の一部をご紹介致します。
①バルコニー笠木
バルコニーの直下から雨漏りしているときは、この箇所から水が浸入している可能性が高いです。風が強い雨の日に笠木の隙間から雨が吹き込んだり、大雨の日に手摺の根元やジョイントのシール材の継ぎ目から水が回り込んだりして、室内へと漏れ出します。
原因としては、経年によるシール材の劣化や、笠木内部の防水の不備が考えられます。築年数が経過している建物では勿論のこと、新築時の防水のおさまりが悪いと、築年数の浅い建物でも雨漏りが起こり得ます。
シールの充填や、笠木内部の防水のし直しが必要ですが、むやみやたらにシール材で隙間を塞いでしまうと、外壁内部の通気が取れなくなり、外壁材が傷みやすくなるので、要注意です。
②サッシ廻りのシール材
木造の建物においては、窓サッシ廻りなどの開口部は、防水紙が内側に入っていない場所になるので、サッシ廻りのシール材の劣化は、容易に室内への雨漏りを引き起こします。築20年以上経過して一度も外壁の改修を行っていなかったり、改修でシールの工事を省略されたりしてしまっている建物は要注意です。築年数の浅い建物の場合は、サッシのおさまり不良も考えられます。
基本的には開口部へのシール充填を行うことで解消を図りますが、シール材の選定は気をつけなければなりません。材質によっては、塗装の密着が悪いものや、建物の動きに追従しにくいもの、紫外線劣化に弱いもの、油汚れがにじみやすいものなどがあります。ご自身で解決を図ろうとする方によく見られるのですが、シール材の選定を誤ると、その後の手直しや改修が、かえって高くついてしまうこともあります。
③外壁目地のシール
外壁目地のシールは、特にALC外壁の建物で雨漏りが発生しやすい箇所です。
木造の建物の場合は、外壁材の下に防水シートが貼られているため、外壁目地のシールから水が入っても、室内へ出ることは少ないです(上記のような開口部があると、その箇所から漏れ出しますが)。一方ALC外壁の建物は、木造の建物と異なり、内部に防水シートが貼られていないため、外壁目地のシール材が切れ、そこから水が入り込むと、室内への漏水を引き起こします。台風などの壁にたたきつけられるような大雨の際に雨漏りする事象が多いです。
こちらも開口部同様、シールの充填で解消を図ることが多いです。ALC外壁の場合は、既存のシールを撤去し、新たにシールを充填する「打ち替え」の手法を取っていただいた方が賢明です。
4.おわりに―雨漏りは早期の修理を
上記以外にも、雨漏りの原因は多様であり、それが解決を難しくさせています。
中には外観では分からないような案件もあり、私共でも調査にお時間をいただくこともございます。
だからと言って、解決を諦めないでください。状況が悪化すると、建物の躯体へダメージを与えることになります。
私共は、雨漏りは虫歯のようなものだと考えます。
目に見える症状は軽微な雨漏りでも、木材や鉄骨の腐食など、内部で被害が進行し、大がかりな修理が必要になるケースもあります。放っておいても自然に直ることはなく、定期的なチェックや、早期の手当てが必要です。
室内への漏水は勿論のこと、「天井や壁に染みができた」「なんだか雨音がする」などといった、ちょっとした違和感を覚えたら、ぜひお早目に私共へご相談ください。