「片流れ屋根」の建物は雨漏りしやすい!軒の出がないスタイリッシュな住宅にご用心2022/06/29

1.はじめに

 

季節が夏に入ると、激しい雨が降ることが多くなります。2000年代頃からメディアが盛んに使うようになった「ゲリラ豪雨」という単語も、今ではすっかり定着しました。
実際、大雨が観測される日は、年による多少の差はあれども、ここ数十年で大きく増えています。1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数は、統計を開始した1901年からの30年間と直近の30年間(1990~2019年)とを比べると、約1.7倍に増加しています[1]。また、1時間降水量50ミリ以上の短時間豪雨は、統計を開始した1976年からの10年間に比べて、直近の10年間(2012~2021年)は約1.4倍に増加しています[2]。

激しい雨が降ると、私共に寄せられるようになるのが、雨漏りのご相談です。
激しい雨や、強い風を伴う雨が降ると、普段の雨では漏れないお客様や、築年数の浅い建物にお住まいのお客様からも、雨漏りのご相談を受けることがあります。
今回は、この季節に多い雨漏りの事象として、「片流れ屋根」の雨漏りをご紹介します。

 

 

2.「片流れ屋根」とは?

 

「片流れ屋根」とは、一方向にのみ傾斜が付けられている屋根のことを指します(これに対して、両方向に傾斜がついているものは「切妻屋根」、4方向に屋根がついているものは「寄棟屋根」と呼ばれます)。シンプルなデザインで、北側斜線規制の影響を受ける住宅地でも空間を最大限活かせることから、最近の戸建住宅で多く採用されるようになっています。
片流れ屋根の建物の多くは、軒の出がないことも特徴として挙げられます。これは、デザイン性だけでなく、限られた敷地を有効活用できることも理由です。

 

 

3.片流れ屋根が引き起こす雨漏り

 

一方で、この「軒の出がない」ことが、雨漏りの原因にもなります。
軒の出がない分、壁面に雨がかかりやすくなり、窓などの開口部に雨水が当たる頻度が多くなります。また太陽光を軒が遮らないため、外壁材やシーリング材の劣化原因になる紫外線を受ける時間が長くなり、軒のある建物に比べると、雨水の浸入を防止するシーリング材が劣化しやすくなります。

また新築時に、内部の防水シートに隙間があったり、屋根と外壁との間の板金のおさまりが悪かったりすると、雨漏りを引き起こします。軒がある建物であれば、屋根と外壁との取り合い部分に水がかかることは稀ですが、軒の出がないと、雨水が浸入するリスクは格段に上がり、吹き付けるような強い雨が、室内への雨漏りに繋がります。これらは言ってしまえば新築時の「施工不良」なのですが、建築業者の雨仕舞いの意識が不足していたり、屋根と外壁を別々の職人が施工することで、屋根と外壁との取り合い部分の施工が甘くなってしまったりすることが、背景としてあるようです。中でも棟部分(頂部)は防水対策が不十分なことが多く、片流れ屋根における雨漏り全体において、その原因の約半数を占めています[3]。

 

 

4.片流れ屋根はどのくらい雨漏りしやすいのか

 

JIO(日本住宅保証検査機構)の調査によると、2010年7月~2016年6月に保険金の支払いを認めた雨漏り事故案件のうち、全体の75.8%と、約4分の3以上が片流れ屋根での雨漏りです。また軒の出がない箇所での雨漏りが、全体の71.8%を占めています。軒の出がない箇所が全体の34.6%に過ぎない(日経ホームビルダー調べ;過去10年間に完成した住宅200棟が調査対象)ことを考慮すると、軒の出がない部位の雨漏り事故の発生確率は、軒の出がある部位の、約5倍に相当します[3]。

勿論、片流れ屋根の建物全てが雨漏りを引き起こすわけではありません。軒の出がない片流れ屋根の建物を建てていても、雨漏りとは無縁の建築業者も存在します。
しかしながら、新築時に万全の雨仕舞いがされていても、築年数の経過とともに、シーリング材などの防水材料は劣化が進んでいき、これらの部位に雨がかかることで雨漏りを引き起こす可能性があります。経年劣化で雨漏りが発生するリスクは、軒の出がある建物と比較すると、どうしても高くなってしまいます。JIO常務取締役の西山祐幸氏は「防水材料の性能だけに依存せず、設計段階で雨仕舞いを考慮し、軒や庇の寸法を確保するのが本来の姿だ」と説きます[4]。確かに、寺社仏閣などの歴史的建造物は、どの建物も軒が大きく出ていますよね。片流れ屋根の建物が抱える雨漏りのリスクは、建てる側は勿論ですが、住む側も認識しておかなければならない問題だと思います(できることなら、住宅を購入する段階で把握しておきたいものです)。

 

 

5.おわりに―「片流れ屋根」を過度に悲観する必要はありません

ここまで片流れ屋根の構造的な問題、雨漏りの発生リスクを指摘してきましたが、お住まいの建物が片流れ屋根だからと言って、過度に悲観する必要はありません。
軒の出がない片流れ屋根の建物は、特に狭小地の多い都市部ではニーズがあり、今後もなくなることはないと思われます。そしてニーズの高まりと、建築業者の問題意識の向上、そして雨漏り被害の実態を踏まえ、より雨水浸入を防ぐ施工部材・工法が開発・導入されてきています。ベストな雨仕舞いにはそれなりのコストがかかることを認識した上で、施工実績のある建築業者を選択することで、雨漏りのリスクは限りなくゼロに近づけられるのではと考えます。

もしもお住まいの建物で雨漏りが発生してしまっても、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、現在の新築住宅は、雨漏りに対して10年の保証があり、建築業者の負担で修理を行える制度になっています。万一建築業者が倒産してしまっても、2000万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられるようになっています。その際には、シーリング材の充填といった一時しのぎの修理にさせず、防水シートや板金のおさまりに問題があるようであれば、それらを剥がしてやり直しをさせ、構造上雨漏りが再発しないような施工を求めるべきです。私共が加盟する「雨漏り119」は、第三者機関として雨漏りの調査を行い、原因を究明し、適切な修理を提案しております。お住まいの方・建築業者の双方からご依頼をいただいております。雨漏りでお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

築年数が経過し、建築業者の保証が切れてから雨漏りが発生している場合は、防水材料が劣化し、建物自体が改修の時期を迎えている可能性があります。
先述の通り、軒の出がない片流れ屋根の建物は、紫外線の影響を受け、劣化が進みやすい構造をしています。雨漏りが進行し、内装材などがダメージを受けてしまう前に、お早目の改修をご検討ください。勿論、私共でもお見積り可能です。雨漏りの調査を行っている私共だからこそ、雨漏りを再発させない改修が可能です。ぜひご相談くださいませ。

 

 

【参考文献】
[1] 令和2年版 防災白書|特集 第3章 1-1 「気候変動×防災」の検討の状況 : 防災情報のページ – 内閣府
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r02/honbun/0b_3s_01_01.html
[2] 気象庁 | 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
[3] 「特集1 それでもやる?軒ゼロ住宅」『日経ホームビルダー』210号, 2016年12月, 30-45ページ
[4] 日経ホームビルダー編『雨漏りトラブル完全解決』日経BP社 ,2017年

 

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