外壁の種類と見分け方―代表的なものをご紹介します2022/05/31

1.はじめに

外壁塗装においては、長期にわたって美観を保つためには、建物の外壁に合った仕様で塗装することが大事なポイントになってきます。
近年では、外壁材・仕上げ方ともに、様々な種類が見られます。ひとつの建物でも、面によって様々な仕上げがされているものもあります。
ご自身の建物に、どのような外壁材が使われているか、またどのような仕上げがされているか……把握をしておくと、外壁塗装を考えるときに役に立つと思います。
ここでは、主な外壁の種類と、その見分け方をお伝え致します。

2.外壁の種類と見分けるポイント

住宅で用いられる外壁は、以下のいずれかであることがほとんどです。
他の外壁材とどこが違うか、それぞれの特徴もあわせてご紹介します。

窯業系サイディング

セメントに繊維質や混和剤を加え、プレス成型することで出来る外壁材です。
現場での塗装が不要で、季節や天気を問わず施工ができるため、工期やコストを抑えられることから、1980年代から普及が進み、現在では低層住宅の7割以上が窯業系サイディングを占めるまでになりました。
成型や表面模様のプリントの技術も進み、凹凸の模様がくっきり表れるなど、意匠性に優れたデザインの壁も多く登場しています。中には一見するとタイルや木材、漆喰などの仕上げに近いデザインもあり、ご自身の建物の外壁が何なのか、分かりづらくしている要因にもなっていると思われます。

窯業系サイディングの一番の特徴は、均等に表れる継ぎ目です。
窯業系サイディングのほとんどが、455mm×3,030mmの大きさで、厚さが12~18mmの規格を採用しており、これを張り合わせることで外壁を形作っています。長辺は合いじゃくりで接合している一方で、短辺はシール材で接合しているため、約3mごとに外壁の目地のシールが表れます。コーナー部分も同様に、フラットな部分の外壁と、コーナー用の外壁材とに目地のシールが見えることが多いです。
建物によっては、目地のシールが見えることを嫌い、見切り材でコーナー部分の目地を隠したり、上下階の間に幕板を設置したり、あるいは塗装で塗り壁のような仕上げにしたりと、工夫されている場合もあります。さらに近年では、短辺も合いじゃくりにして目地のシールを隠す「四方合いじゃくり」の外壁材も登場してきており、特徴が分かりづらくなっているものもあります。
このような場合でも、外壁と基礎との取り合い部分にある「水切り」の隙間から手を入れると、外壁材の厚みが分かり、窯業系サイディングであるかどうかが判断できます。

モルタル

水とセメントと砂とを混ぜ合わせて作られた外壁を、職人が手作業で塗っていくことで出来上がる外壁材です。1960~80年代の建物に多く用いられてきましたが、施工のコスト等の問題から、現在の主流は、先述の窯業系サイディングに取って代わられています。
モルタルは防水性がないため、仕上げに塗装が必要となります。仕上げの方法として「リシン」「スタッコ」「吹付タイル」「左官」といったものがあり、建物ごとに異なる意匠性を実現できるのが特徴です。

モルタルの特徴は、窯業系サイディングとは逆に、外壁材の継ぎ目がないことでしょう。
築年数の経過した木造住宅で、外壁に目地がなければ、あるいは吹き付けの独特な模様があれば、間違いなくモルタル外壁だと判断して良いと思います。
また、これはモルタル外壁のデメリットでもあるのですが、ひび割れが発生しやすいという特徴も持ち合わせています。建物の揺れで負荷がかかりやすい窓廻りは、特にひび割れが起こりやすい箇所です。ひび割れから水分が浸入すると、外壁材自体の耐久性を低下させますので、早期の手当てが必要になってきます。

ALC

ALCとは「Autoclaved Lightweight Concrete」、和訳すると「オートクレーブ(高温高圧蒸気養生)された軽量気泡コンクリート」という意味です。珪石・生石灰・セメント・アルミ粉末などの原料を混ぜ合わせ、発泡・凝固させ、高温高圧蒸気窯で養生することで製造されています。窯業系サイディングと同様に、工場で生産されたものを張り合わせて組み立てる外壁材です。その一方で、ALC自体には防水性がなく、モルタル外壁のように、仕上げに塗装が必要です。鉄骨造の建物に多く採用されています。

ALCの特徴は、窯業系サイディングよりも、外壁のシール目地が多いことです。ALCのサイズは、一般的に幅が600mm、高さが2,000~5,000mm程度、厚みが100~150mmと規格化されています。窯業系サイディングが一般的に長辺は合いじゃくり、短辺はシールで接合されているのに対し、ALCは長辺・短辺ともにシールで接合されています。シール目地が60cmごとに入っていれば、その外壁はALCだと思って良いでしょう。

金属サイディング

窯業系サイディングがセメントと繊維質とを混ぜ合わせて作られているのに対し、こちらは金属でできた外壁材です。アルミニウム・亜鉛・ケイ素で表面をメッキした「ガルバリウム鋼板」が多く用いられています。一昔前はトタンが用いられていました。
金属サイディングは、凍結に強いというメリットがあり(窯業系サイディングなどは、外壁材の内部に入った水分が凍り、外壁材を内側から傷める「凍害」が起こることがあります)、断熱材を入れることで高い断熱性を確保することができるため、寒さの厳しい北国の住宅で多く採用されています。
また塗装よりも高い耐久性を誇ることから、改修で外壁を金属サイディングで覆うケースもあります。CMと訪問販売で一世を風靡した「パッとさいでりあ」も、金属サイディングの一種です。

金属サイディングも、窯業系サイディングほどではありませんが、レンガ調や石目調など、多彩なデザインがあります。一見すると窯業系サイディングのようにも見えるものも出てきていますが、近くで見たり手で軽く叩いたりすると、金属の質感が分かるかと思います。
また窯業系サイディングと比較すると、目地が目立たないのも特徴です。目地部分にカバーが取り付けられていることもあります。これらの特徴を押さえておけば、窯業系サイディングとの見分けがつくと思います。

打ち放しコンクリート

鉄筋コンクリート造の建物は、塗装やタイル貼りなどで仕上げることが多いですが、これらの工程を省略し、撥水材の塗布にとどめ、コンクリート独特の質感をそのまま残している、打ち放し仕上げの外壁もあります。
コンクリートの原料は水・セメント・砂・砂利で、モルタルと似ています。砂利が含まれる分、モルタルよりも強度があります。

打ち放しコンクリートは、質感が独特ですので、一目瞭然で見分けがつくと思います。中には打ち放しコンクリートを模した窯業系サイディングもありますが、質感が全く異なるので、区別は用意でしょう。

タイル

外壁にタイルを張った仕上げです。タイルは粘土などの無機質な原料を使用しているので、タイルそのものは耐久性に優れています(経年でタイルが浮いたり目地が劣化したりするので、定期的なメンテナンスは必要になりますが)。
「タイル壁」と言っても、タイルはあくまで仕上げになりますので、タイルの下には、窯業系サイディングやモルタル、ALC、コンクリートなど、何かしらの外壁材が存在します。外壁材を判断して、それに合った補修を行うことが必要になります。
特にALCの目地の上にタイルが貼られている場合は要注意です。タイルが目地の動きに追従できず、タイルや目地にひび割れが発生することがあるのですが、このひび割れが深刻になると、ひび割れから建物内部へ雨水が浸入し、雨漏りを引き起こします。躯体に影響を与える前の対処が求められます。

3.まとめ

以上代表的な外壁材を紹介致しましたが、他にも樹脂系サイディング木質系サイディング板張りなど、外壁材の種類は実に多岐にわたり、外壁材の特性に応じた改修が必要です。
ここでご紹介した、外壁材の簡単な見分け方以外にも、建築図面をお持ちでしたら、図面内に仕様が載っているかもしれません。改修をお考えの際には、外壁材の種類とその特徴を把握しておくと、よりご納得できる改修ができると思います。
ご不明点がございましたら、無料で現場調査にお伺い致しますので、お気軽にご相談ください。

 

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