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外壁材「ALC」とは?―塗装で知っておくべきこと2022/01/27

1.はじめに―ALC外壁とは?

「ALC」とは、「Autoclaved Lightweight Concrete」の頭文字を取ったもので、和訳すると「オートクレーブ(高温高圧蒸気養生)された軽量気泡コンクリート」という意味になります。珪石・生石灰・セメント・アルミ粉末などの原料を混ぜ合わせ、発泡・凝固させ、高温高圧蒸気窯で養生することで製造されています。こうして製造されたパネルを張り合わせることで、外壁が出来上がります。

その大きさは規格化されており、多くは60cm×3mの大きさです。他の種類の外壁よりも、外壁材をつなぎ合わせる目地が多いため、目地の多さが、ALC外壁かどうかを見分けるポイントになります。

国内では1970年代以降に普及し、鉄骨造の建物を中心に、この外壁材が採用されています。

木造3階建てが認められていなかった時代は、3階建て以上の建物、とりわけ「都市型3階建」と呼ばれる戸建住宅や店舗兼住宅などに、非常に多く使われていました。時代とともにバリエーションも増えていき、大手ハウスメーカーにおいても、後述のメリットにより、今なお積極的に取り入れられています。

 

 

2.ALC外壁の長所と短所―定期的なメンテナンスが必要です

ALC外壁は、「軽量気泡コンクリート」なだけあって、コンクリートの堅牢さと、軽さを持ち合わせた外壁材です。高性能な外壁材ではありますが、いくつか短所も持ち合わせています。ALC外壁の長所と短所を知ると、定期的なメンテナンスの必要性が分かるかと思います。

 

長所その① 耐久性

目地が多いため、躯体が揺れても、目地が衝撃を吸収し、外壁材自体にダメージがかかりにくくなっています。鉄筋コンクリートのようなひび割れや、サイディング壁のような反りが発生しにくいこともあり、耐久年数は(メンテナンスを怠らなければ)50~60年程度と言われています。

 

長所その② 耐火性

珪石などの不燃材料でできているため、火災に対して強いことも長所の1つです。阪神大震災ではALC外壁が防火壁としての役割を果たしたほか、以前はALC外壁を採用するだけで、火災保険も割引されていました(現在は柱材で保険料が決まるようになっているため、外壁材では保険料は変わりません)。また加熱によって有毒ガスが発生することもありません。

 

長所その③ 気泡がもたらす断熱性・防音性・調湿性

ALC外壁は、内部の気泡が熱や音・湿気を吸収することで、断熱や防音、調湿といった効果も生みだします。ALCの熱伝導率は、コンクリートの10分の1程度であるほか、その防音性は高層ビルの遮音床や鉄道駅の防音壁にも採用されるほどです。

 

長所その④ 施工性

ALC外壁の画期的な点は、その軽さにあります。重量はコンクリートの4分の1程度で、水に浮くほどです。建築の現場においても、取付がしやすいだけでなく、規格が決まっているために工期がかからず、均一な仕上がりが実現できます。

 

短所その① 防水性に難あり

ALC外壁は、内部の気泡が水を吸いやすい構造をしています。新築時においては塗装で外壁材を保護していますが、経年により塗装が劣化したり、外部からの衝撃で建物が傷ついたりすることで、外壁材に水の浸入口が発生します。外壁材が水を含むと、外壁材がひび割れを起こしたり、内部の鉄筋が錆びたりする危険性は、他の外壁材と同様です。

ALC外壁が一般的なサイディング壁と違うところは、水が壁内に回った際に、室内への浸入を抑える「二次防水」がないことです。

外壁や屋根を「一次防水」、それが突破された場合に室内へ漏れ出ないよう食い止めるものを「二次防水」と呼びます。サイディング壁の場合は、壁内に水が回っても、その内部に防水シートが貼られ「二次防水」として機能しているおかげで、室内へ漏れにくくなっています。

一方ALC外壁の場合は、多くの場合、防水シートは内部に貼られていません。そのため外壁材のひび割れ等から壁内に水が入ると、室内への雨漏りに直結します。ひび割れを発生させない、発生したらすぐに対処することが必要になります。

 

短所その② 目地が多い

幅60cmのものが多いALC外壁は、幅1m程度のサイディング壁の2倍以上の外壁の繋ぎ目、すなわち目地があります。ALC外壁は目地が深いので、目地部分に打設するシールの量は、サイディング壁よりも数倍の量になります。目地の量が多いということは、それだけ劣化する箇所も多いということでもあります。

目地のシールが劣化すると、シール自体に亀裂が入り、そこから水の浸入を招くほか、建物の揺れによる外壁への衝撃を緩和する能力が低下することで、外壁材にダメージが伝わりやすくなり、外壁材にもひび割れが発生しやすくなります。

上述の通り、ALC外壁には「二次防水」がないので、これらの部分からの水の浸入には注意を払う必要があります。目地においては、ALC外壁の長辺は合いじゃくりになっている一方、短辺はフラットになっているため、この部分の目地のシール材に亀裂が入ると、容易に内部に水が浸入します。

劣化が進行する前に、定期的にメンテナンスを行うことが、ALC外壁の建物においては肝要になってきます。

 

 

3.ALC外壁を塗装する際の注意点

では、ALC外壁の塗り替えに当たっては、どのような点に気を付ければよいでしょうか?

ALC外壁ならではの、外壁塗装の注意点をご説明します。

 

①ひび割れの補修に気を配る

ALC外壁の塗り替えに際しては、内部の気泡が水を吸いこまないよう、ひび割れの補修を念入りに行う必要があります。ひび割れの大きさによっては、塗装のみや表面のみの補修では、ひび割れを再発させることになりかねません。特に幅の広いひび割れに関しては「Vカット」「Uカット」と呼ばれる、ひび割れを切開してシールを充填する補修方法が必要になります。

 

②既存のシール材が硬い場合には「打ち替え」を行う

ALC外壁の目地には窪みがあり、この窪みを活用してシールを充填する「増し打ち」を行うことで、厚みを持たせたシールを充填でき、既存の目地のシール材も保護できます。しかしながら、シール材が硬化してしまうと、上から増し打ちを行っても、建物の動きに対する追従性は蘇らず、外壁材にひび割れを発生させてしまう原因にもなりかねません。既存のシール材が硬化している場合には、既存のシール材を撤去し、シール材を新たに充填しなおす「打ち替え」での対応が必要になります。

ALC外壁のメーカーは、初回の改修時は「増し打ち」、2回目の改修時は「打ち替え」を推奨していますが、劣化状況に応じた対応が必要になってきます。爪でシール材の部分を押して、柔らかさを感じるかどうかが、「増し打ち」で十分なのか、「打ち替え」が必要なのかを見分けるポイントです。

 

③シール材は「低モジュラス」のものを

「モジュラス」とは、「材料を伸ばしたときに生ずる、元に戻ろうとする力」のことで、簡単に言うと「シール材の硬さ」です。シール材によって、「モジュラス」に差があり、元に戻ろうとする力が強い方から順に「高モジュラス」「中モジュラス」「低モジュラス」に分類されます。

ものを固定する力は「高モジュラス」のシール材の方が優れているのですが、ALC外壁の場合、戻ろうとする力が強すぎると、外壁材がシール材の引っ張りについていけず、シール材が破断したり、外壁材がひび割れたりしてしまうことがあります。建物の動きに柔軟に追従する「低モジュラス」のものを選択する必要があります。

 

④下塗りを念入りに

ALC外壁の短所である防水性を補うには、長期にわたって剥がれや膨れ等の塗膜の劣化が発生しない仕様で塗装を行う必要があります。

塗装の工程で大事なのは、「下塗り」の工程です。密着を高める「シーラー」か、細かなひび割れを埋める「フィラー」の、どちらか一方を塗ることが標準的な施工方法とされていますが、塗膜の耐久性を高めるのであれば、上記のどちらも塗装することが望ましいです。色を付ける「上塗り」の塗料が密着するとともに、ALC外壁表面の細かなひび割れが埋まり、塗膜の防水性が長時間持続します。

 

 

4.まとめ

ALC外壁に限らず言えることですが、ただやみくもに塗装して良いというものではありません。

塗料の選択もさることながら、下地の補修やシール工事をしっかり行うことで、ALC外壁の短所を解消し、長所を生かすとともに、雨漏り等の心配なく住み続けることができます。

ただ「色をつけるだけ」の工事や、そのような工事を行う業者は避けるべきです。外壁塗装は決して安くない工事ですから、どうしても予算ありきになってしまいがちですが、お見積りの段階で、補修の内容が明確であるとともに、細かい部分まで説明できる業者を選択してください。そうしていただいた方が、将来にわたって満足できると思います。

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