外壁の塗り替えの工程をご紹介します!2021/12/30

1.はじめに

 

外壁の塗り替えは、1日で仕上がるものではありません。
何日もかけて、工事を進めて参ります。
その間「臭いがする」「窓を開けられない」「洗濯物を外に干せない」などのご迷惑をおかけする工程が発生します。
私共でも、なるべく長期間ご迷惑をおかけしないよう、努めているのですが…

事前に塗り替えの工程が分かっていれば、どの期間洗濯物を干せないかなど、ある程度心づもりや対策ができるかと思います。
今回は、そんなお家を塗り替える際の工程に関してご説明致します。

2.塗り替えの工程

塗り替えにおける大まかな工程は、以下の通りです。
お家の構造や塗装の仕様で、内容や順序が前後することがありますが、標準的な例としてご参考にいただければと思います。

①足場組立


作業の為、建物の外周に足場を組み、メッシュシートで覆います。
作業時の安全だけでなく、洗浄で発生する水沫や、塗装時の塗料などの飛散防止のためにも、足場は必要になってきます。
足場はハンマーで組み上げるため、どうしても大きな音が致します。
足場組立のために、お庭の鉢植えや物置などの移動が必要な場合があります。作業員が当日適宜移動させていただくことがほとんどですが、高価なものや壊れやすいものがあれば、事前にご移動をいただいた方が賢明です。
また足場が隣家にはみ出す場合には、あらかじめお隣様のご承諾を得る必要があります。公道にはみ出す場合には、道路管理者や警察に届け出をして、許可を得なければなりません。さらに配電線が近くにある場合は、感電防止の為、防護管の取り付けを電力会社に依頼することが必要です。私共では、これらの手続きは事前に実施致しております。

②高圧洗浄

建物の汚れを、圧力をかけて落とします。
私共では、外壁は110kgf/㎠、屋根は130kgf/㎠を基準にしています(外壁材が傷まないよう、適宜調節致します)。家庭用の高圧洗浄機よりも高い圧力で、汚れを落としていきます。塗装をしないタイル面や外構なども併せて洗浄します。
足場組立ほどではありませんが、洗浄機のコンプレッサーの音が響きます。

③養生作業


塗装しない箇所が塗料やシーリング材で汚れないよう、ビニールをかけます。
ここからしばらくは、周囲の塗装が完了するまで、窓を開けられなくなります。
生き物が入っている水槽などは、呼吸ができるよう、穴をあけておきます。

④下地補修

外壁に発生したひび割れを埋めていきます。補修の方法は外壁の材質やひび割れの幅・深さでことなりますが、パテやシールで埋めることが多いです。外壁の材質によっては、大きなひび割れの場合、ひび割れの再発防止のため、「Vカット」「Uカット」という、ひび割れの周囲を削り取ってからシールを充填する工法を取ることもあります。
この工程を怠ると、せっかく塗装を行っても、再度同じ箇所からひび割れが発生してしまうことがあります。

⑤シール工事


外壁の目地や窓廻りのシールを充填します。
シールの部位や状態により、「打ち替え」を行う場合と、「増し打ち」を行う場合があります。
また外壁材に合わせて、シーリング材の種類を選ぶ必要があります(外壁材に比べてシール材の引張り応力が強すぎると、かえって外壁材が割れてしまうこともあります)。
塗装の前にシール工事を行うことが多いですが、使用する塗料やシーリング材によっては、塗装後にシール工事を行う「後打ち」で対応することもあります。

⑥軒天井塗装

軒天井は、軒下を明るく見せるために、白色で塗装することが多いです。
湿気が籠りやすいこの部分は、外壁に塗装するような「造膜性」の塗料を塗ると、内部に溜まった湿気が蒸発した際に、塗膜に膨れを生じさせることがあります。ケイカル板が張られている場合は、湿気を通す「浸透性」の専用塗料で仕上げることが望まれます。
私共では、多くの場合、専用塗料を直接2回塗って仕上げますが、下地の状況によっては、下塗り材を入れたり、あるいは外壁と同様の仕上げで塗装したりすることもあります。

⑦外壁塗装


下塗り・中塗り・上塗りの3工程で仕上げることが一般的ですが、私共では、下塗りを2層入れ、計4工程で塗装を仕上げることも多いです。接着剤の役割を果たす「シーラー」と、細かなひび割れを埋める「フィラー」を両方入れることで、仕上がりに差が出ます。
下塗りが終わったら、中塗り・上塗りと、決めていただいた塗料・塗色で色を付けていきます。外壁の塗り替えでは「シリコン」「フッ素」など、この中塗り・上塗りの工程にばかり目が行きがちですが、その前段の工程も、大変重要なのです。
また各工程の間には、適切な乾燥時間を設ける必要があります(塗料によって異なります)。乾燥時間が足りなくても、逆に次の工程まで間を開けすぎてもいけません。
外壁を塗り終わったら、周囲の養生を外します。ここから先は、窓を開けていただけます。

⑧付帯部塗装


外壁が仕上がったら、雨樋や配管、破風板、雨戸、シャッターBOXなどの「付帯部」と呼ばれる部位を塗っていきます。部位によっては、外壁より先に塗ることや、足場解体後に塗ることもあります。
これら「付帯部」と呼ばれる箇所は、素材の特性上、外壁と比較して塗装の劣化が進みやすい傾向にありますが、これらの箇所を、耐久性に難のあるウレタン塗料で塗装する業者が、今なお少なからずいるようです。私共では、フッ素以上のグレードの塗料で塗装し、外壁との塗装の劣化バランスを揃えるようにしています。

⑨屋根塗装


建物の状況によっては、外壁よりも先に仕上げることもあります。
下塗り・中塗り・上塗りの3工程で仕上げることが一般的ですが、私共では、スレート屋根の場合、接着剤の役割を果たす下塗り「シーラー」を2層入れ、計4回塗装することを標準としています。
スレート屋根は、ある程度劣化が進行していると、塗料の吸い込みが激しく、下塗りの塗料を1層塗っただけでは、接着の役割を十分果たさないばかりか、中塗り・上塗りを塗布した際に吸い込みムラが発生し、見栄えが悪くなってしまいます。外壁同様、下塗りにおけるこの1工程が大事なのです。
またスレート屋根の場合、肝要なのは、しっかりと水抜きのための「縁切り」と呼ばれる作業を行うか、縁切りに相当する効果が得られる「タスペーサー」と呼ばれる道具を取り付けることです。この作業を行わないと、雨水が塗膜の僅かな隙間から「毛細管現象」によって吸いあがり、建物内部へ入り込むことで、雨漏りの発生を招くことがあります。

⑩その他工事


バルコニーや屋上の防水工事や板金工事、タイルの貼替など、作業時に足場が必要な工事があれば、併せて実施します。
状況により、外壁の塗装より先に行うこともあります。

⑪仕上がり点検・補修作業

作業中も適宜点検は行いますが、上記の一通りの工程が終了したら、足場を解体する前に全体検査を行い、お客様に足場解体の承諾をいただいた上で足場解体へと進みます。万一塗り残しや塗装ムラ、塗らない面への塗料の付着などがあれば、補修を行います。現場の作業員と別の者がチェックすることで、塗装の漏れや不備を防いでいます。

⑫足場解体

建物にかかっていた足場を外します。組立の時ほどは時間を要しませんが、ハンマーを使用して外していくため、どうしても大きな作業音が発生してしまいます。

⑬清掃・最終チェック

足場解体が完了したら、改めて清掃・点検を行います。
全ての箇所を塗装し終えて、問題がなければ、ようやく完了・お引渡しとなります。

私共では、足場組立から解体までに、2週間~20日ほどいただくことが多いです。
作業員を多く現場に入れて、工期を縮めることもできるのですが、作業員にそれぞれ経験で培った「塗り方」があるため、仕上がりが均一にならなくなることから、積極的には行っておりません。

3.まとめ

外壁の塗り替えの工程は、よくお化粧にたとえられます。
化粧の乗りをよくするためには、しっかりと顔を洗い、化粧水や保湿クリームなどを塗って、下地をととのえてあげる必要があります。
外壁の塗り替えも同じです。
いくら耐久性の高い塗料を塗っても、その前段階にあたる洗浄や下地処理がいい加減だと、本来の耐久性を確保できません。

また、このことが、塗料は「半製品」であると言われる所以です。
良い塗料を、良い職人が塗って、はじめて良い仕上がりになります。
塗料自体の良し悪しもそうですが、「どんな職人が塗るのか」「職人の管理体制は整っているか」「塗装の仕様が明確になっているか(どの塗料を、どんな薄め方で、何回塗るのか…など)」ということも、業者選びの際にはぜひ気を配ってみてください。

 

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