外壁の塗装方法とは?その種類をご紹介します2022/03/31

1.はじめに

外壁塗装って、どんな塗り方をしているの?
臭いとか、ご近所へのご迷惑はない?
初めての塗り替えをお考えの方は、何かと心配事もあるかと思います。

ご近所への配慮のない業者に塗装を任せてしまって、ご近所トラブルを招いたり、ご近隣の方との関係が悪くなったりしてしまう事例もあるようです。
塗り替えの前に、塗装の方法や種類を把握しておき、安心して工事を任せられるようにしましょう。

 

2.外壁の塗装方法とメリット・デメリット

 

外壁の塗装において、採用される塗装の種類は、以下のものがあります。
それぞれのメリット・デメリットや、用いられるケースをご紹介致します。

 

①ハケ塗り

外壁に限らず、塗装の際に昔から用いられている塗り方です。
毛の部分に塗料を含ませ、塗りたい箇所を塗っていきます。
毛の部分の材質は様々で、豚や馬、山羊などの毛の他に、耐久性や価格などを重視した化学繊維製のものも使われます。
また形も多様で、柄が筋交いのように斜めについている「筋交い刷毛」、より細かい面の塗装に適した「目地刷毛」、広い面の塗装に適した「平刷毛」、毛量が多く、粘度の高い塗料の塗装に適した「寸胴刷毛」などがあります。
値段も幅広く、中には溶剤塗料の塗装に適さないハケなどもあり、塗装環境・材料に応じたハケを選ぶことが求められます。
ハケ塗りのメリットは、細かい場所まで塗装ができることです。
外壁塗装においては、現在は後述のローラー塗りが主流ですが、ローラーでの塗装が難しい隅の部分などは、ハケで塗装を行うことが多いです。
また塗装後の点検の際に、塗装が不十分な箇所を補修する「タッチアップ」という工程でも、ハケ塗りをすることが多くあります。

一方短所としては、後述のローラー塗りや吹き付けと比べると、作業効率が落ちることが挙げられます。また広い面積を塗るとハケの跡が目立つことがあり、塗装する職人の技量が問われる塗装方法でもあります。
そのため現在では、ローラー塗りが向かない細かい部分を先にハケで塗ってから、広い部分をローラーで塗るという塗り方が一般的になっています。この細かい部分を先にハケで塗る作業を、塗装業界では「ダメ込み」と呼びます。「ダメ(仕事のやり直し:「ダメ出し」の「ダメ」と同義です)が出ないよう塗り込める」という意味を語源とする言葉です。

 

②ローラー塗り

毛やスポンジなどで出来たローラーに塗料を含ませて、転がしていくことで塗っていく塗装方法です。
ローラーもハケと同様に、塗装の用途に応じて、様々な種類のものがあります。
大きさでは「スモール」「ミドル」「レギュラー」、毛足の長さでは「短毛」「中毛」「長毛」と分類できます。
また一般的な繊維タイプのローラー以外にも、柄を付けるためのローラーも存在します。「マスチックローラー」「砂骨ローラー」などといったものがこれに該当します。
ハケと同様に、塗料によってはローラーの繊維を傷めてしまうことがあるので、状況に応じたローラーの使用が求められます。

ローラーのメリットは、その施工性にあります。
吹き付け塗装には及びませんが、広い範囲を短時間で施工できます。塗料が厚く塗れるので、塗膜の耐久性にも優れます。
さらに塗料の飛び散りも少なく、周囲にご迷惑をかけることなく施工が可能です。
ハケ塗りと比べて技術習得が容易で、現在の主流の塗装方法となっています。

デメリットとしては、既述の通り、細かい場所の施工性に難があることです。
またハケ塗りほどではないですが、職人の技術によっては、塗装にムラができてしまうことがあります。

 

③吹き付け

スプレーガンに塗料を入れ、塗料を霧状にして塗布する塗装方法です。
スプレーガンの種類は、圧縮した空気を用いて、塗料を霧状にする「エアスプレー」と、塗料自体に圧力をかけて、細かい噴射口から霧状の塗料を出す「エアレススプレー」の2タイプに分けられます。機械を変えることで、様々な柄を出せるのが特徴です。意匠性のある塗料や工法の中には、吹き付けでないと対応できないものもあります。

吹き付けのメリットは、ローラーよりもさらに広い面積を、短時間に塗装できることです。広い塗装面積を一気に塗装できる分、工期短縮にもつながり、工事金額を抑えられることがあります。また塗料の粒子が細かくなるため、ハケやローラーが入りづらい箇所への塗装も行えます。
施工する人間の腕にもよりますが、ハケやローラーと比較して、塗装ムラが発生しにくいとも言われます。また塗膜の厚みを調整できることから、厚膜塗装が適さない場所への塗装にも向いています。

デメリットは、塗料の飛散リスクが高いという点です。吹き付けによる塗装は、粒子が細かいがために、塗料が遠くまで飛んでいきます。周囲を汚さないように養生をする範囲も、ハケやローラーでの塗装と比較して広くなるため、養生の手間がかかります(そのため、吹き付け塗装がかえって高くついてしまう可能性もあります)。養生を行っても、風などの環境要因によって、塗料の粒子が思いがけず遠くまで飛び、周囲の建物や車などを汚してしまうおそれがあります。新築時の住宅の外壁の主流が、塗装で意匠性を表現するモルタル外壁から、意匠性に優れた状態で生産されるサイディング外壁に移行したことも、塗料の飛散リスクを回避する流れの一つだとも言えます。吹き付け塗装を施工する事例が少ないがために、吹き付けの道具を持っていない、あるいは吹き付け塗装に慣れていない職人も増えています。
上記のような理由もあり、特に住宅が密集する都市部においては、戸建住宅の塗装で、吹き付け塗装が採用されるケースは少なくなっています。吹き付け塗装は、工場など、大規模でかつ周囲への飛散リスクが少ないような建物の塗装に向いた工法です。

 

④コテ塗り

塗り壁材に水を加えて練り、コテを使って厚塗りしていく工法です。
高い技術が求められる工法で、塗装職人とは別に、左官職人が現場に入って作業するケースがほとんどです(厳密には「塗装」ではなく「左官」というジャンルに該当します)。
大きさや形状が異なるコテを使い分けることで、様々な模様をつけることが可能です。コテ以外にも、ハケやローラーなどを当てて、模様をつけることもあります。
コテ塗りのメリットは、厚塗りの塗り壁に模様をつけることで実現できる、デザインの立体感と多様さです。「校倉」「さざ波」「連波」などの独特なデザインは、コテ塗りならではの仕上がりです。塗り壁の厚みと材質により、高い防火性も誇ります。

コテ塗りのデメリットは、施工に手間がかかることです。ペンキによる塗装と比較して、高い技術が要求される上、一度に多くの面積を施工することが難しい工法です。塗り壁材の乾燥にも時間を要するため、その分の工事日数と費用がかかります。また施工環境によっては、水分が蒸発することでひび割れが発生しやすい、雨垂れが内部に染みこむことで汚れが沈着しやすい、等の難点もあります。
そのため、外壁の改修にコテ塗りを行うケースは少なく、新築時にコテ塗りがされている外壁も、上からペンキを塗装して改修することがほとんどです。コテ塗りの風合いを活かす塗料をローラーやハケで塗装することで、新築時のような自然な仕上がりを実現できます。

 

3.おわりに―低価格の「吹き付け塗装」には要注意!

様々な塗装方法をご紹介させていただきましたが、周囲への配慮と施工性から、都市部の昨今の住宅の外壁塗装は、私共も含め、ローラー塗りとハケ塗りの併用で仕上げることがほとんどです。
一方で、少数ではありますが、低コストを重視し、吹き付け塗装を提案する業者も今なお存在するようです。吹き付け塗装が一概に悪いわけではありませんが、ご近隣への配慮が必要な工法でありますので、工事の前に、どのような方法で外壁を塗っていくか、そして吹き付け塗装を行う場合には、ご近隣への飛散防止対策が十分に行えるのか、十分にチェックをしていただいた方が宜しいと思います。

 

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