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アスベスト義務化: 完全解説!対象工事・届出・罰則まで徹底網羅【2024年最新】2024/11/15

 

アスベスト(石綿)は、かつて建材などに広く使われていましたが、その危険性が明らかになり、現在では厳しい規制の対象となっています。アスベストが原因で発症する中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を防ぐため、アスベストの有無を事前に調査し、適切な対策を講じることが法律で義務付けられています。 このページでは、2024年最新の情報に基づき、アスベスト義務化の対象工事、事前調査、届出、作業基準、罰則規定まで、徹底的に解説します。アスベスト義務化に関する疑問を解消し、適切な対応を理解することで、健康被害のリスクを最小限に抑え、安全な工事を実現できるようになります。解体・改修工事に関わる方はもちろん、建物の所有者や管理者の方も必見の内容です。 この記事を読み終えることで、アスベストに関する法律の理解を深め、罰則のリスクを回避し、安全で安心な環境を維持するための具体的な方法を理解することができます。

1. アスベスト義務化とは

アスベスト(石綿)は、天然に産出する繊維状鉱物で、かつては建材などに広く使用されていました。耐熱性、耐薬品性、断熱性、防音性などに優れていることから、建材以外にも様々な用途に利用されてきました。しかし、アスベストは吸い込むと肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになり、世界各国で規制が進んでいます。日本では、2006年に製造、輸入、使用等が原則禁止となりましたが、既に使用されているアスベスト含有建材は多数存在するため、その適切な管理が課題となっています。

「アスベスト義務化」とは、既存のアスベスト含有建材の適切な管理を徹底するため、解体・改修工事を行う際にアスベストの有無を事前に調査し、アスベストが使用されている場合は所定の手続きと基準に従って除去・飛散防止対策を行うことを義務付けた一連の法規制のことを指します。 これにより、アスベストによる健康被害の発生を未然に防ぐことを目的としています。

1.1 アスベストが危険な理由

アスベストの危険性は、その微細な繊維構造にあります。アスベスト繊維は非常に細かく、吸い込むと肺の奥深くまで到達し、長期間にわたって留まります。これにより、肺がん、中皮腫、アスベスト肺、びまん性胸膜肥厚などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。特に中皮腫は、アスベスト曝露が主な原因とされており、発症までに数十年かかる場合もあります。

1.2 アスベストによる健康被害

アスベストによる主な健康被害は以下の通りです。

疾患名概要
肺がん肺に発生する悪性腫瘍。アスベスト曝露によりリスクが増加します。喫煙との相乗効果も指摘されています。
中皮腫肺や腹腔、心膜などを覆う中皮に発生する悪性腫瘍。アスベスト曝露が主な原因とされています。
アスベスト肺アスベスト繊維を吸い込むことによって肺に炎症や線維化が生じる病気。呼吸困難などを引き起こします。
びまん性胸膜肥厚胸膜が肥厚する病気。呼吸機能の低下などを引き起こす可能性があります。

これらの健康被害は、アスベストへの曝露量や曝露期間、個人の体質などによって異なります。 少しでもアスベストに曝露した可能性がある場合は、健康診断を受けることが重要です。

1.3 アスベスト関連法規制の歴史

アスベストによる健康被害が深刻化するにつれて、日本でも関連法規制が整備されてきました。主な法規制と改正の経緯は以下の通りです。

  • 2006年:労働安全衛生法施行令改正:アスベスト含有建材の製造、輸入、使用等が原則禁止。
  • 2012年:大気汚染防止法改正:アスベストの飛散防止対策の強化。
  • 2014年:石綿障害者等給付金等の支給に関する法律改正:給付対象者の拡大。
  • 2020年:労働安全衛生法施行令改正:事前調査の対象範囲拡大、分析方法の規定追加など。

これらの法改正により、アスベストの規制は段階的に強化されてきました。 最新の法規制を遵守することが重要です。

詳しくは厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。

2. アスベスト義務化の対象工事

アスベストによる健康被害を防止するため、建築物や工作物の解体・改修工事においては、アスベスト含有建材の有無を事前に調査し、適切な対策を講じることが義務付けられています。対象となる工事の種類を以下に詳しく説明します。

2.1 解体工事

建築物や工作物を解体する工事は、アスベスト義務化の対象となります。解体工事は、アスベスト粉じんの飛散リスクが高いため、特に注意が必要です。

2.1.1 建築物の解体工事

住宅、オフィスビル、商業施設、工場など、あらゆる建築物の解体工事が対象となります。建築物の規模や用途に関わらず、アスベスト含有建材が使用されている可能性がある場合は、事前調査と適切な除去作業が必要です。

2.1.2 工作物の解体工事

橋、トンネル、煙突、貯水槽など、建築物以外の工作物の解体工事も対象となります。これらの工作物にもアスベスト含有建材が使用されている場合があり、解体時には注意が必要です。

2.2 改修工事

建築物や工作物の改修工事も、アスベスト義務化の対象となります。改修工事は、解体工事に比べてアスベスト粉じんの飛散リスクは低いものの、適切な対策を講じる必要があります。

2.2.1 レベル1~3の改修工事の違い

アスベスト含有建材の改修工事は、その規模や内容に応じて、レベル1からレベル3に分類されます。レベルが高いほど、アスベスト粉じんの飛散リスクが高く、より厳格な対策が必要です。

レベル工事内容
レベル1アスベスト含有建材を直接取り扱う工事以外天井裏の配管工事、壁のクロス貼り替えなど
レベル2アスベスト含有建材の一部を取り扱う工事アスベスト含有吹き付け材の一部撤去、アスベスト含有保温材の一部撤去など
レベル3アスベスト含有建材のすべてを取り扱う工事アスベスト含有吹き付け材の全面撤去、アスベスト含有保温材の全面撤去など

レベル1の工事であっても、アスベスト含有建材が損傷している場合は、レベル2またはレベル3の工事と同様の対策が必要となる場合があります。詳しくは、環境省のアスベスト改修工事の区分に関するページをご覧ください。

2.3 調査が不要なケース

以下のようなケースでは、アスベスト事前調査が不要とされています。

  • 建築物または工作物の築年数が明らかであり、特定建築材料の使用が禁止された平成18年9月1日より前に建築されたものでない場合
  • 増築、改築部分の工事であり、特定建築材料が使用されていないことが明らかな場合
  • アスベストの使用がないことが明らかな建築材料のみを使用している場合

ただし、これらのケースであっても、アスベスト含有建材が使用されている疑いがある場合は、念のため事前調査を行うことが推奨されます。詳しくは、厚生労働省のアスベストに関するQ&Aをご覧ください。

3. アスベスト義務化における事前調査

アスベストによる健康被害を未然に防ぐため、アスベスト義務化の対象となる工事を行う前には、必ず事前調査を実施しなければなりません。事前調査を怠ると、罰則の対象となる可能性があります。また、適切な除去費用を見積もるためにも、事前調査は不可欠です。

3.1 調査方法

アスベストの事前調査は、主に「定性分析」と「定量分析」の2つの方法で行われます。どちらの方法を用いるかは、建物の築年数や改修工事の内容によって異なります。

3.1.1 定性分析

定性分析は、建材にアスベストが含まれているかどうかを調べるための分析方法です。顕微鏡などを用いて、建材の試料を直接観察し、アスベストの有無を判定します。比較的費用が安く、迅速に結果が得られるため、スクリーニング検査として広く利用されています。

代表的な定性分析方法には、偏光顕微鏡法、位相差顕微鏡法、分散染色法などがあります。

3.1.2 定量分析

定量分析は、建材に含まれるアスベストの量を調べるための分析方法です。建材の種類ごとにアスベスト含有率を数値で把握できるため、除去工事の計画を立てる上で重要な情報となります。

代表的な定量分析方法には、X線回折法、蛍光X線分析法などがあります。

分析方法目的費用期間
定性分析アスベストの有無を判定比較的安価短期間
定量分析アスベスト含有率を測定比較的高価やや長期間

分析方法の選択や具体的な調査手順については、専門の調査機関に相談することをお勧めします。経験豊富な専門家による適切な調査実施が、正確な結果を得るために重要です。

厚生労働省では、アスベスト分析調査機関のリストを公表しています。アスベスト分析調査機関一覧(厚生労働省)

3.2 調査結果の記録と保管

アスベストの事前調査結果は、適切に記録し、一定期間保管することが義務付けられています。これは、将来的な建物の改修や解体工事において、アスベストに関する情報を確実に引き継ぐためです。

記録すべき内容としては、調査対象箇所、調査方法、調査結果、調査実施日、調査実施者などが挙げられます。これらの情報を記載した報告書を作成し、保管しておく必要があります。保管期間については、関係法令で定められています。

また、調査結果に基づいて、アスベスト含有建材の図面を作成することも推奨されています。図面を作成することで、建材の種類や位置が一目で分かり、より安全な作業計画を立てることができます。

適切な記録と保管は、工事関係者だけでなく、建物の所有者や管理者にとっても重要な責任です。法令を遵守し、責任ある対応を心がけましょう。

4. アスベスト義務化における届出

アスベストによる健康被害を防止するため、解体・改修工事を行う際には、事前調査の結果に基づき、所定の届出を行うことが義務付けられています。この章では、届出の対象者、時期、方法、必要書類について詳しく解説します。

4.1 届出の対象者

届出の対象者は、原則として工事の発注者です。ただし、発注者が自ら解体・改修工事を行う場合(いわゆる「自主施工」)は、発注者自身が届出を行う必要があります。また、請負契約等により工事を請け負った事業者(元請負人、下請負人等)は、発注者に届出の義務があることを周知する義務を負っています。

具体的には、以下の者が届出の対象となります。

  • 建築物または工作物の所有者
  • 建築物または工作物の管理者(所有者から委託を受けた者など)
  • 自主施工を行う者

ただし、特定の公共工事については、国または地方公共団体が発注者であっても届出の義務が免除される場合があります。詳しくは、環境省のウェブサイトをご確認ください。

4.2 届出の時期と方法

届出は、工事着工日の7日前までに行う必要があります。届出が遅れた場合、罰則が適用される可能性がありますので、注意が必要です。

4.2.1 電子申請システム

インターネットを利用した電子申請システムが利用可能です。電子申請システムを利用することで、24時間いつでも届出を行うことができ、手続きの効率化が図れます。また、入力ミスを防ぐためのサポート機能も備わっています。

具体的な電子申請システムについては、各都道府県・政令指定都市の窓口にお問い合わせください。

4.2.2 書面申請

書面による届出も可能です。所定の届出書式に必要事項を記入し、管轄の都道府県労働局長または都道府県知事等に提出します。書面申請の場合は、郵送または持参で提出します。

届出書式は、厚生労働省または環境省のウェブサイトからダウンロードできます。

4.3 届出に必要な書類

届出に必要な書類は、以下のとおりです。

書類名内容備考
アスベスト含有建材等除去等作業実施届出書工事の概要、アスベスト含有建材の種類・数量、作業方法など必須
アスベスト事前調査結果報告書アスベストの有無、含有建材の種類・数量、分析方法など必須
作業計画書作業手順、安全対策、作業員の配置など特定の工事の場合
委任状代理人が届出を行う場合必要に応じて

届出書類に不備がある場合、届出が受理されないことがありますので、正確に記入するよう注意してください。また、必要に応じて追加書類の提出を求められる場合があります。

詳細な情報については、厚生労働省のウェブサイトまたは環境省のウェブサイトをご確認ください。

5. アスベスト義務化における作業基準

アスベスト義務化においては、作業基準を遵守することが非常に重要です。作業基準を守らない場合、健康被害のリスクが高まるだけでなく、法令違反となる可能性もあります。以下では、アスベスト義務化における作業基準について詳しく解説します。

5.1 作業者の資格と教育

アスベスト除去作業を行う作業者は、厚生労働大臣が指定する講習を受講し、修了証を取得しなければなりません。講習の内容は、アスベストの有害性、作業手順、安全対策など多岐にわたります。また、作業主任者を選任し、作業の指揮監督を行わせる必要があります。作業主任者も同様に、厚生労働大臣が指定する講習を受講し、修了証を取得しなければなりません。石綿作業主任者技能講習

5.2 作業手順と安全対策

アスベスト除去作業は、厳格な作業手順と安全対策のもとで行われなければなりません。主な作業手順と安全対策は以下のとおりです。

5.2.1 湿潤作業

アスベスト粉じんの飛散を防ぐため、作業前にアスベスト含有材を十分に湿潤させる必要があります。湿潤剤としては、界面活性剤などを含む水が一般的に使用されます。

5.2.2 囲い込み

作業区域をシートなどで完全に囲い込み、アスベスト粉じんが外部に漏れないようにする必要があります。囲い込みは、作業区域全体を覆うように設置し、隙間がないようにしっかりと固定する必要があります。

5.2.3 保護具の着用

作業者は、適切な保護具を着用しなければなりません。保護具としては、防じんマスク、保護衣、保護手袋、保護メガネなどが挙げられます。防じんマスクは、アスベスト粉じんを吸入しないように、国家検定合格品を使用する必要があります。

5.3 アスベスト除去作業

アスベスト除去作業は、以下の手順で行います。

手順内容注意点
1. 事前調査アスベスト含有建材の種類、量、位置などを確認する。調査結果に基づき、適切な除去方法を選定する。
2. 作業計画の作成作業手順、安全対策、廃棄物処理方法などを具体的に定める。関係者間で作業計画を共有し、理解を深める。
3. 作業区域の隔離作業区域をシートなどで囲い込み、アスベスト粉じんの飛散を防ぐ。隔離区域への立入りを制限し、安全を確保する。
4. 除去作業の実施湿潤作業、手工具による除去、電動工具による除去など、適切な方法でアスベストを除去する。アスベスト粉じんの飛散を最小限に抑えるよう、慎重に作業を行う。
5. 除去後の清掃作業区域を清掃し、アスベスト粉じんを除去する。清掃には、HEPAフィルター付きの掃除機を使用する。
6. 廃棄物処理除去したアスベストは、産業廃棄物として適切に処理する。廃棄物処理に関する法令を遵守する。
7. 作業後の測定作業区域の空気中のアスベスト濃度を測定し、安全性を確認する。測定結果は記録し、保管する。

上記は一般的な手順であり、建材の種類や状況によって異なる場合があります。必ず専門業者に相談し、適切な作業手順と安全対策を講じるようにしてください。石綿含有建材の適正な処理に関する技術マニュアル

6. アスベスト義務化違反の罰則

アスベスト義務化に違反した場合、工事関係者だけでなく、発注者にも罰則が科せられる可能性があります。違反の内容によっては、刑事罰だけでなく、行政罰も適用される場合があります。無知や認識不足を理由に責任を回避することはできませんので、関係者は法令を遵守し、適切な対応を行うことが重要です。

6.1 工事関係者への罰則

アスベストの除去等に関する法律に違反した工事関係者(請負人、元方事業者等)には、以下の罰則が適用される可能性があります。

違反内容罰則
事前調査未実施6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
届出未提出6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
作業基準違反6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
除去等の実施状況の記録未作成・不保存30万円以下の罰金

出典:環境省 アスベストに関する法律・政令・省令

6.1.1 特定元方事業者等への罰則

一定規模以上の工事の元方事業者等には、より重い罰則が規定されています。

違反内容罰則
事前調査未実施1年以下の懲役または100万円以下の罰金
届出未提出1年以下の懲役または100万円以下の罰金
作業基準違反1年以下の懲役または100万円以下の罰金

出典:環境省 アスベストに関する法律・政令・省令

6.2 発注者への罰則

発注者も、工事関係者による違法行為を防止する責任を負います。例えば、工事関係者が無届でアスベスト除去作業を行った場合、発注者にも罰則が科せられる可能性があります。

違反内容罰則
特定元方事業者等による事前調査未実施50万円以下の罰金
特定元方事業者等による届出未提出50万円以下の罰金
特定元方事業者等による作業基準違反50万円以下の罰金

出典:環境省 アスベストに関する法律・政令・省令

さらに、アスベストによる健康被害が発生した場合、発注者は民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。被害者への賠償金支払いや、風評被害による事業への影響など、多大な損失を被る可能性があるため、発注者もアスベスト問題に対して適切な対応を行うことが重要です。

適切なアスベスト対策を行うことは、法的責任の回避だけでなく、社会的な責任を果たすことにも繋がります。関係者各位は、アスベスト問題の深刻さを認識し、法令遵守を徹底するよう努めましょう。

7. アスベスト義務化に関するよくある質問

アスベスト義務化に関して、よくある質問とその回答をまとめました。不明点の解消にお役立てください。

7.1 アスベスト含有建材の見分け方は?

アスベスト含有建材の見分け方は、見た目だけで判断することは非常に困難です。建材の種類や使用されていた年代から推測することは可能ですが、確実な判断のためには専門業者による分析が必要です。

以下、アスベストが含まれている可能性のある建材の例と、その見分け方のポイントです。

建材の種類見分け方のポイント
吹付けアスベスト天井や壁などに吹き付けられた状態で、表面がザラザラしていることが多いです。石綿含有吹き付け材と類似したロックウールなどの吹付け材もあるため、注意が必要です。
アスベスト含有保温材配管などに巻き付けられた保温材で、白色や灰色のものが多く、表面が布状や紙状で覆われている場合もあります。
アスベスト含有スレート板波形や平板状の屋根材や外壁材で、クボタシーアイ株式会社の「クボタ石綿スレート」のように、メーカー名や製品名に「石綿」という表記がある場合は、アスベスト含有の可能性が高いです。
アスベスト含有成形板壁や天井、床材などに使用される板状の建材で、ケイカル板など、アスベストを含まない類似建材もあるため、注意が必要です。

より詳細な情報や分析方法については、以下のサイトをご覧ください。

7.2 アスベスト義務化の対象となる建築物の築年数は?

アスベストの使用は2006年に全面禁止となりました。そのため、2006年以前に建てられた建築物はアスベスト含有建材が使用されている可能性があります。 ただし、築年数が新しいからといって、アスベストが含まれていないとは限りません。増改築や修繕工事でアスベスト含有建材が使用されている可能性もあるため、注意が必要です。

正確な判断のためには、専門業者によるアスベスト調査を実施することが重要です。

7.3 自分でアスベスト除去作業を行っても良い?

アスベストの除去作業は、資格を持つ専門業者でなければ行うことはできません。 アスベストは非常に危険な物質であり、除去作業中にアスベスト繊維を吸い込むと、健康被害を引き起こす可能性があります。無資格でアスベスト除去作業を行うと、法律で罰せられる可能性があります。

必ず専門業者に依頼し、安全かつ適切な除去作業を行ってもらうようにしましょう。

7.4 アスベストの分析方法にはどんな種類があるの?

アスベストの分析方法には主に定性分析定量分析の2種類があります。定性分析は、試料中にアスベストが含まれているかどうかを調べる分析方法です。 一方、定量分析は、試料中に含まれるアスベストの量を調べる分析方法です。 それぞれの分析方法には、偏光顕微鏡法、X線回折法、電子顕微鏡法などがあります。 状況に応じて適切な分析方法を選択する必要があります。

7.5 アスベストの届出はどんな種類があるの?

アスベストの届出には、事前調査の結果に基づく届出除去等作業開始の7日前までに必要な届出があります。事前調査の結果に基づく届出は、調査の結果、アスベスト含有建材が見つかった場合に、その種類、数量などを届け出るものです。除去等作業開始の7日前までに必要な届出は、アスベストの除去、封じ込め、囲い込みなどの作業を開始する7日前までに、作業内容、作業期間などを届け出るものです。それぞれの届出には、必要な書類や提出先が異なりますので、注意が必要です。

7.6 建物の解体工事以外でもアスベストの届出は必要?

はい、必要です。 建物の解体工事以外にも、改修工事やリフォーム工事などでも、アスベスト含有建材の除去、封じ込め、囲い込みなどの作業を行う場合は、届出が必要です。 作業の種類や規模に応じて、必要な届出が異なりますので、事前に確認することが重要です。

8. 関連情報と支援制度

アスベスト問題に関する理解を深め、適切な対応を行うためには、関連情報や支援制度の活用が不可欠です。以下に主要な情報源と支援制度をまとめました。

8.1 厚生労働省のアスベスト情報

厚生労働省は、アスベストによる健康被害の防止に関する様々な情報を提供しています。主な情報は以下の通りです。

  • アスベストによる健康被害の予防について:アスベストの健康影響、健康診断、労災補償などに関する情報
  • アスベスト関連法規制:石綿障害予防規則、労働安全衛生法など関連法令の情報
  • アスベスト相談窓口:アスベストに関する相談窓口の情報

これらの情報は、事業者だけでなく、労働者や一般市民にとっても重要な情報源となります。

厚生労働省:アスベスト(石綿)情報

8.2 環境省のアスベスト情報

環境省は、大気汚染防止法に基づき、アスベストの飛散防止対策に関する情報を提供しています。主な情報は以下の通りです。

  • アスベストの飛散防止対策:解体工事、改修工事におけるアスベスト飛散防止対策に関する情報
  • アスベスト含有建材の処理:アスベスト含有廃棄物の処理方法に関する情報
  • アスベストに関する相談窓口:アスベストに関する相談窓口の情報

特に、解体工事や改修工事を計画している場合は、これらの情報を確認することが重要です。

環境省:アスベストに関する情報

8.3 独立行政法人環境再生保全機構

独立行政法人環境再生保全機構は、アスベストの適正処理に関する情報提供や支援事業を行っています。主な事業は以下の通りです。

  • アスベスト処理に関する技術支援:アスベストの分析、処理方法に関する技術支援
  • アスベスト処理に関する相談窓口:アスベスト処理に関する相談窓口の設置
  • アスベスト関連研修:アスベスト処理に関する研修の実施

アスベスト処理に関する専門的な知識や技術支援が必要な場合は、環境再生保全機構に相談することが有効です。

独立行政法人環境再生保全機構:アスベスト

8.3.1 その他関連団体

団体名概要リンク
一般社団法人日本アスベスト調査診断協会アスベストの調査、分析、診断に関する事業を行う団体一般社団法人日本アスベスト調査診断協会
公益財団法人日本環境衛生センターアスベストの分析、測定、調査、研究などを行う団体公益財団法人日本環境衛生センター

上記以外にも、地方自治体や業界団体など、様々な機関がアスベストに関する情報を提供しています。必要に応じて、これらの情報源も活用しましょう。

9. まとめ

アスベストは、かつて建材などに広く使用されていましたが、その発がん性が明らかになり、現在では厳しい規制の対象となっています。 アスベストによる健康被害を防止するため、解体・改修工事におけるアスベスト事前調査と除去作業の義務化は不可欠です。 本記事では、アスベスト義務化の対象工事、事前調査、届出、作業基準、罰則、よくある質問などを網羅的に解説しました。

特に重要なのは、工事の種類や規模に関わらず、アスベスト含有の疑いがある場合は必ず事前調査を実施し、適切な届出を行うことです。 レベル1から3までの改修工事の違いを理解し、それぞれのレベルに適した対応が必要です。 また、作業に従事する作業者は、適切な資格と教育を受け、安全対策を徹底することが求められます。 これらの義務を怠ると、工事関係者だけでなく、発注者にも罰則が適用される可能性があります。

アスベストに関する法規制は複雑で、常に最新の情報を確認することが重要です。 厚生労働省や環境省のウェブサイトなどを参考に、正しい知識を身につけ、安全かつ適切な工事を行いましょう。 アスベスト問題の解決には、関係者全員の意識向上と協力が不可欠です。