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2022/04/30

1.はじめに

戸建住宅のほとんどに取り付けられている雨樋。
そんな雨樋の役割を、皆さまはご存知でしょうか。
多くの場合、雨樋は外壁や屋根と同様に、定期的なメンテナンスが必要です。
今回は、雨樋の役割を紹介するとともに、そのメンテナンス方法についてご紹介致します。

2.雨樋の歴史と役割

雨樋は、雨水を集めて排水するための建材です。「とい」「とゆ」「とよ」など、人によって異なる呼び方をすることもありますが、意味は同じです。
雨樋の歴史は古く、わが国に現存する最古の雨樋は、奈良県にある東大寺法華堂(三月堂)の、木製の樋だと言われています。同建物は奈良時代・733年の建立で、約1300年の歴史があります。
屋根に瓦が用いられていた寺社仏閣では、雨水が屋根をつたうため、早くから雨樋が普及してきました。一方で一般住宅においては、江戸時代頃までは茅葺屋根が多く、屋根が雨水を吸収するため、雨樋の必要性は高くありませんでした。雨樋の普及は瓦屋根が普及した近代以降になります。
明治期に入ると金属製の雨樋が、そして戦後に入ると塩ビ製・合成樹脂製等の樹脂製の雨樋が普及し、現在に至っています。

雨樋の最大の役割は、建物の保護です。もしも雨樋がなかったら、屋根から垂れる雨は軒をつたい、建物の軒先や外壁を腐食させます。また地面に落ちた水が跳ね返り、建物にかかることで、外壁を汚したり濡らしたりする可能性があります。木造の建物においては、建物の腐食や恒常的な水濡れは、シロアリの発生を招くことにもなり、腐食の進行が一層早まりますので、こうした状況は避けなければなりません(大雪や台風の多い北日本・南日本では、風雪で雨樋が破損するため、あえて雨樋を付けない地域もありますが)。
また玄関など、通行人に水がかからないようにする役割も当然あります。時代をさかのぼると、古代・中世においては、雨樋を用いて雨水を1箇所に集めることで、その水を飲み水や生活用水に用いる役割もあったと言われています。

3.雨樋の不具合とその対処法

建物の保護のために重要な役割を果たす雨樋ですが、外壁や屋根と同様に、雨樋も定期的なメンテナンスが必要になります。特に一般住宅で多く用いられている樹脂(塩ビ等)製の雨樋は、経年によって劣化が進み、不具合が生じやすいです。
ここでは経年とともに発生しうる雨樋の症状と、その対処法を紹介致します。

①色あせ(チョーキング)

外壁と同様、雨樋も紫外線や風雨の影響を受け、色あせが発生します。塩ビ製の雨樋では、経年によって必ずと言って良いほど発生する症状です。塩ビなどの樹脂は、外壁材よりも紫外線で劣化しやすく、外壁よりも早く色あせが目立ってきます。樹脂が破壊されることで、樹脂内の顔料が浮き出ることで、手で触ると白い粉が手につくようになります。これを「チョーキング」と言います。
表層の樹脂が紫外線で侵され、雨樋の耐久性が弱まると、以降で紹介するような不具合が発生し、雨樋の本来の機能が失われる原因にもつながります。外壁同様、色あせやチョーキングは劣化の初期の段階であり、改修を考えるサインであるとも言えます。劣化の程度が軽微であれば塗装での延命が可能ですが、後述のような不具合が出てくると、塗装だけでは解決が難しくなってきます。

②割れ

異物の衝突や建物の動きによって、雨樋が割れることがあります。特に経年で樹脂の劣化が進むと、雨樋の強度が低下し、建物の動きに追従できなくなるので、割れが発生しやすくなります。雨樋が割れてしまうと、割れた部分から水が漏れ出てしまい、本来の雨樋の排水機能を果たせなくなります。
アルミテープなどを貼って応急処置をすることもありますが、決して耐久性に優れるものではありません。根本的な解決には、雨樋の部材を交換する必要が出てきます。風水害が原因の破損であれば、火災保険を利用して補修を行える可能性があります。

③ジョイントからの水漏れ

「継手」「つなぎ」とも言われる雨樋のジョイント部は、多くの場合、接着剤を使用して固定しています。経年劣化で接着剤が弱まることで隙間が生じ、水漏れを引き起こす可能性があります。こうなってしまうと、雨樋の機能は十分には果たされません。
本来であれば雨樋を分解し、再度の接着剤の塗布を行うべきですが、既存の接着剤がうまく剥がれなかったり、勾配調整が必要になったりするリスクがあるので、排水機能に問題がなければ、内側からシーリング材を充填して収めることが多いです。

④歪み

建物の動きや雪の重みなどで、雨樋に歪みが発生することがあります。大雨が降ると、口の開いた部分から水が溢れ、雨樋の機能を十分に果たさなくなります。特に塩ビ製の雨樋は、熱によって変形しやすく、雨樋の歪みが発生しがちです。
一方で変形してしまった雨樋を、綺麗に元通りにするのは難しく、解決には部材の交換が必要となります。もしも歪みの原因が風水害であると認定されれば、火災保険を利用して補修を行うことも可能です。

⑤詰まり

雨樋に異物が入り込むことで、排水能力が低下し、詰まりが発生することがあります。特に付近に緑が多い建物では、雨樋に落ち葉が堆積しやすく、排水に支障をきたします。
排水の機能に問題がない限りは、雨樋を清掃することで解消できます。また軒樋部分に落ち葉除けのネットを敷設することで、堆積物の詰まりによる排水能力の低下を防ぐことができます(雨樋の落ち葉の堆積に悩まされている方にはおすすめです)。

4.雨樋塗装の手順

塩ビ製の雨樋であれば、機能の維持と美観のために、塗装を行うことが一般的です。
中には「塗装をしない方がいい」と考える塗装業者もいるようですが、外壁や屋根は塗装する一方で、雨樋を塗装しないと、全体的な仕上がりがアンバランスになります。外壁や屋根などだけでなく、「付帯部」と呼ばれるそれ以外の部分でも、塗装ができる箇所は塗装を行った方が、自然な見た目に仕上がります。
雨樋を塗装するにしても、交換するにしても、足場が必要になりますので、外壁塗装などの足場を組むタイミングで改修をいただいた方が、費用を抑えられるのは間違いありません。

一方で、スチールを除く金属製の雨樋は、排水能力が低下しない限り、基本的には塗装を行う必要はありません。塩ビ製の雨樋と比較して、強固な素材でできておりますので、塗装を行わずとも、雨樋の強度が低下したり、割れ等の不具合が出たりする可能性は低いです。塗装ができないことはないのですが、アルミやステンレスなどの素材は、塗料の密着に難があり、塗装を行っても短期間で塗膜が剥がれはじめ、かえって美観を損ねてしまいます。

雨樋の塗装で重要なことは、下地処理と塗料選択です。

下地処理は外壁の塗装と同様、塗料の密着を高め、塗装後の不具合を防止する上で重要な工程です。特に雨樋は素材がつるつるしているため、そのままの状態では塗料の密着が悪く、塗膜の剥離を招きます。そこで、「ケレン」と呼ばれる表面の目荒らし作業を行い、細かい凹凸を付けることで表面積を増やし、塗料の吸着を良くします。このような下地処理は、ただ色をつけるだけの作業ならば不要な工程かもしれませんが、塗装後10年以上先を見据える上では、絶対に欠かせない工程なのです。また、つかみ金具などの鉄部には錆止め塗料を、一度塗装されている面にはエポキシ系の下塗り塗料を塗ることが、塗膜の寿命を高める上には大事な作業になります。

また塗料選択も、塗装の耐久性を大きく左右します。
多くの塗装業者が、雨樋の塗装にシリコン塗料を使用しています(シリコン塗料よりも耐久性に劣るウレタン塗料を使っている業者もあるようですが…)。
工事費用を抑えるという理由でシリコン塗料を用いるのは合理的な選択だとは思いますが、外壁塗装にフッ素塗料などの高耐久な塗料を推奨する一方で、雨樋などの付帯部はシリコン塗装で済ませるというのは、耐久性の観点からすると、ちぐはぐな選択に感じます。むしろ外壁よりも色あせが目立ちやすい雨樋こそ、フッ素塗料などの高耐久塗料で塗装すべきなのです。私共は、建物の均一な劣化を考え、雨樋などの付帯部塗装には、基本的にフッ素塗料を使用しています。

5.まとめ

建物を雨から守っている雨樋は、定期的なメンテナンスを行うことで、その機能を維持するとともに、美観を保ちます。
日常生活においては、不具合がない限りは、雨樋に関して意識することはないかもしれませんが、外壁塗装を行うタイミングで、今一度、雨樋の状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。足場が架かると、チェックや補修も格段にしやすくなります。
もし万一、雨樋に不具合が発生している場合は、火災保険で雨樋を修理できる可能性があります。雨樋修理のための足場費用が保険で賄うことができれば、その足場を外壁塗装に活用することも可能です。
建物のメンテナンスをお考えでしたら、あるいは雨樋の不具合にお困りでしたら、ぜひお気軽に現場調査をご用命ください。無料診断・お見積り致します。